わたくしは署名はいたしません


 この状況で署名に走ること自体どうかと思う。ただ、それ以上にやることの順序や方向がおかしいんだよ。
署名してどうなるの?どうするつもりなの?・・・・答えは見えてこない。
 署名という手段が目的化してしまっている気がする。基本的に、署名とは「集団での意思表明」でしかないと思う。
 署名活動をする・してもらう側(今回の場合はトリニータ)の主張がどう考えても正しいのにも関わらず、著しく権利を侵害されているとかならまだわかる。実際、そういうものには署名によって「集団での意思表明」に協力する人がたくさん出てくる。はっきりとした根拠があるから、過去には署名が国を動かし、新しく法律ができたり改正されたりすることに繋がったりもした。
 しかし、今回のような署名は全く意味が無い。理不尽とさえ思う。仮にたくさんの人たちが署名によって熱い意志を表明したとしても、現実問題としてトリニータには監督も含めてこれまでの戦力を維持する金がない以上、意味が無い。署名の数が何万人だろうが、何億人だろうが、同じこと。まさに「世の中、金だよ」だ。
 今回の経営問題は、過去の胸スポンサー問題などと同列に扱われがちだが、実は性質が全く違い、「例外的に」がありえるものではない。あの時は、マルハンを認めてくれるかもという希望がほんのわずかとはいえ、あったんだと思う。だから、「認める・認めない」という二つに一つという形だった。しかし今回のように、金がないものはどうしようもない。契約「する・しない」という二つに一つというのは無い、金がない以上それはありえない。「借金を返せる見込みが見えるところまで支出を抑える」という一つしかない
 署名を集めるだけのエネルギーがあるなら、それを募金を集めることに使った方がよほど良いと思う。できれば直接トリニータに納める方が良い。後援会を通すと結局は6割しかトリニータには入らない仕組みになっているから。まぁ、後援会を運営するにも金が必要だからそれは仕方の無いことだろう。
 ただし、募金するにしても、もっと詳細に経営の実態が明らかにされてからでないといけない。これくらい集めればこれくらい効果があるという、青写真というか大まかな結果が予想できる状態になってからでないと、大事な大事な金をただドブに捨てることになってしまう。それで、実際詳細が明らかになったところで、「こりゃ無理だ」となったら・・・その時はその時。「大分トリニータは無くなりました」という現実を受け入れるしかない。

「署名しかない」と考える人は、次のことを理解しているんだろうか?
★もし、Jリーグの緊急融資がなければ、現時点で「Jリーグクラブ・大分トリニータ」は無くなっていた
★6億は一度ではなく2回に分けて融資される予定だが、そのことを決定したことだけでも、大きな意味があった。(そのおかげでトリニータが一応今も存在できている。これからもサポートしようと思う人がいて、署名だの募金だの言えるのも融資決定のおかげ
★融資に使われる基金は、色々なJクラブが汗水たらして働いて稼いだお金の一部を出しあって、もしもの時(何らかの理由でいくつかの試合が開催できない恐れが出たとき)のために備えていたもの。それは長年積み上げられて10億円ほどになり、その6割を大分が使う
本当に分かってるんだろうか・・・。分かっていたらあんな方向に走らないと思うんだが。

 そして、これだけは声を大にして言いたい。
 税金を長年滞納しながら、裏では人から大金を借りて高級外車を乗り回すことを今後も続けさせる気には、人としてなれない
本人たちにその気はないかもしれないが、この状況での署名とはそういうことになる。

 ちょうどいいタイミングで下のような事実が明らかになった。

 さらに下のような記事も。「昇格圏内に入った場合は債務超過解消が昇格条件となるので、その時は資金集めを呼びかける」らしい。
なんだソレは。それでは、再建計画なんて意味がなくなるじゃないか。

 これでも署名で何とかしようとするんだろうか・・・。本気で「効果がある」と信じ込んでいる人たちには悪いが、無駄でしかない